クイーン・オブ・レイドオフ|植竹希望スイング解説

レイドオフスイング

クイーン・オブ・レイドオフ 植竹希望

セルヒオ・ガルシアがレイドオフスイングのキングだと思いますが、女子では、世界をみてもこれだけレイドオフスイングを身につけている選手はいないと思います。 

クイーン・オブ・レイドオフの植竹希望のスイングを解説します。 

P1 スタンダードなセットアップ。グリップはかなりのストロンググリップ 

グローブのマークが正面を向いています。 

左手はかなりのフックグリップです。 

自分の目線で見ると、ナックルが4つは見えているくらいです。 

ただ、右掌はターゲットに向かって正面を向くようにグリップしてします。 

目の前の人と握手するようなイメージです。 

後ろから見ると、足の甲、膝、脇のラインがほぼ直線で結べる、スタンダードなアドレスです。 

シャフトのラインと、ボールと肘の上を結んだラインからクラブヘッドと手が出ないようにスイングするのが基本です。 

腕は肩から地面に真下ではなく、少し前に出ています。

手を真下に下ろして構えてしまうと、体とクラブの間にスペースができずに、クラブをインサイドから下ろしづらいのですが、少し前に手を出すことでスペースを確保しています。

もしかしたら本人としては、結構手を前に出しているイメージかもしれません。

P2 シャフトが地面と平行の位置で、クラブヘッドがインサイド側へ 

手はスイングプレーンの内側を通っています。 

レイドオフのお手本セルヒオ・ガルシアはシャフトプレーンのラインを手が通過ますが、植竹プロの場合は、プレーンの間を通っています。 

少しだけですが、手元が浮き気味のP2です。 

手元が少しだけ浮き気味なので、クラブヘッドが少しインサイドに入って、プレーンの下側を通ります。 

ガルシアも若干、インサイドに引いていますが、ほぼプレーン上を通っています。

ドロー系の弾道をイメージしていると思います。 

個人的には、この時点でもう少し体でクラブをあげる意識を持った方が良いのではないかと思います。

P3 腕が地面と平行の位置で、手元が少し上がる 

手の位置が、シャフトプレーンの上側(ボールと肘を結んだライン)のラインを通ります。 

ガルシアに比べて、少しだけ手元が上の位置を通ります。 

P4 かなりコンパクトなトップで掌屈を入れる 

トップでは、プレーンの上側に手が上がります。 

レイドオフスイングの特徴的なところで、シャフトが下側のプレーンより、”寝て”いる状態になります。 

手がプレーンを外れますが、シャフトがレイドオフの状態なので、手を体の近くに戻し安くなります。 

手がこの位置で、クロストップだと、手を戻してくるのが非常に難しくなります。 

腕は、地面と45度くらいで、女子プロの中ではかなりコンパクトなトップです。

また、前から見て右腰がボール半分くらい飛球線側にシフトしています。 

女子プロでこれくらいコンパクトなトップはかなり珍しいです。 

2022年3月現在、世界ランクNo.1で、一見コンパクトなトップに見える、コ・ジン・ヨンでも、45度以上、手は上がっています。

かなり早い段階で切り返していかないと、これくらいのコンパクトトップにはならないです。 

植竹本人はP2あたりですでに、切り返しを入れているイメージだと思います。 

トップがコンパクトなので、掌屈しているようにあまり見えませんが、かなり掌屈を入れているイメージです。 

レイドオフスイングでは、トップでの左手首の掌屈は必須なので、アマチュアが真似する場合はかなり意識して掌屈を行う必要があります。

P5 ダウンスイングで腕の角度が地面と平行、シャフトの角度がP4と変わらない 

後ろから見て、P4のシャフトの角度と全く同じ角度で、クラブが真下に移動しダウンスイングが始まってます。 

これは、植竹希望の特別なところです。 

ここで、シャフトの角度をP4と同じに下ろしてくることで、P6以降での手元の位置が決まってきます。 

ここでのシャフトの角度が実現できれば、P6以降で手元を体の近くを通すスイングができます。 

P6 シャフトが地面と平行の位置、まだシャフトの角度がP4と変わらない 

P6のあたりまで来ても、後ろから見てシャフトの角度がP4と変わりません。 

植竹本人は、ダウンスイングでは「右肘を背中につけるイメージ」と雑誌で語っています。 

これも植竹希望の特徴的な部分です。 

P7 インパクト直前からインパクト 

シャフトプレーンより、下側のインサイドからインパクトを迎えます。 

インサイドアウトの軌道になり、ドローを打ちに行っていることがわかります。 

インサイドからヘッドが入っている程度は結構大きいです。 

その時の調子によって、プルプッシュが出てしまうことがあるかもしれません。 

もう少し、クラブヘッドがシャフトプレーンを通れば、もっと安定したアイアンショットが打てるのでは、と思います。 

ただ、体に近い腕の位置は、なかなかできるものではありません。 

ここまで体の近くを腕を通るのは、引きつける力が強いだけでなく、P4からP6までシャフトの角度が変わらず、重力のままに真下に下ろしてくることができているからです。 

P8 インパクト後のシャフトが地面と平行 プレーン上を通る 

P8以降を意識するのは難しいですが、ドローヒッターの典型で、シャフトプレーンの上側をなぞるようにフォローを出していきます。 

P9 インパクト後の腕が地面と平行の位置 脇あたりからクラブヘッドが抜ける 

P9では、脇あたりの位置からクラブヘッドが抜けて、インサイド方向に振り抜いて行っています。 

ガルシアと同じくらいの位置でヘッドが抜けますが、ガルシアのスイングではシャフトがフォローでもっと立っています。 

植竹希望はもっとシャフトを立てた方が、ボールの軌道は安定すると思います。 

P10 綺麗なフィニッシュ 

女子プロの典型的な綺麗なフィニッシュです。 

まとめ 

ドローヒッターのクラブヘッドの起動ですが、少しインサイドアタックの度合いが強いスイングです。 

P4からP6までの、シャフトの角度が変わらないのが天才的。 

このP4からP6をアマチュアが習得できれば、非常に強力な武器になると思います。 

これができることで、手元がインパクトで体の近くに持っていくことができます。 

これだけ手元を近く持って来れるのは、USのLPGAトップクラスの女子プロでもほとんどいないです。

ただ、インサイドアタックの度合いが若干強いため、ミスヒットの確率も若干高くなります。 

2021の住友生命Vitalityレディス 東海クラシックで3Wのティーショットを左に曲げて池に入れたショットがあった記憶がありますが、これだけインサイドアタックの度合いが強いと、左に曲げるミスが出やすいです(プロなので、その確率は非常に低いですが)。

プロなのでフェードも打てると想像しますが、もう少しP2から手元を上げず、体でクラブをあげるイメージでクラブヘッドをアウトに上げて、フェード気味のスイングを習得すれば、無敵なのでは、と思ってしまいます。

長年馴染んで日本でのランキングも上位を維持している中でドローからフェードに持ち球を改造するのは、かなり勇気がいることと思いますが、この部分が修正できれば世界でも活躍できると思います。

そのためには、ガルシアのように手とクラブヘッドがプレーン上を動くスイングに修正することが必要です。

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