“FR車でスキー・スノボに行くのは自殺行為”は過去の話?

「次の車は、走りの楽しいFR(後輪駆動)セダンやワゴンが欲しい。でも、冬は毎週のようにスキーやスノボに行くし……やっぱり無難に4WDのSUVにするべきか」

古くから言われる「雪道=FRは弱い」という定説。しかし、自動車技術が飛躍的に進化した現代において、その常識は本当に正しいのでしょうか?


FR車で雪山に行くことは、全く問題ありません。むしろ、FR車のメリットもあります

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現在、FRの代表格とも言えるBMW 3シリーズ ツーリングで、冬シーズンには頻繁に雪山へ通っている筆者が、その実体験もお教えします。

目次

FR車=雪道で滑る・登らないは本当か?

まず、なぜ「FRは雪に弱い」と言われるのでしょう。
FR(フロントエンジン・リアドライブ)は、前のタイヤで舵を取り、後ろのタイヤで車体を押し出す仕組みです。雪道のような摩擦係数の低い路面では、後ろから押す力が強すぎるとお尻が振られる(オーバーステア)現象が起きやすいというのが物理的な理由です。

しかし、現代のFR車はかなり改良されています。

1. 進化した電子制御システム

現代の車には、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)やトラクションコントロールといった高度な電子制御装置が標準装備されています。
これらは、タイヤが空転しそうになると瞬時に感知し、エンジンの出力を絞ったり、個別の車輪にブレーキをかけたりして姿勢を安定させます。雪道でラフにアクセルを踏んでも、車のコンピューターが「おっと、滑りそうだ」と判断して即座に介入してくれるため、クルクルとスピンすることはまずありません。

2. 前後重量配分の適正化

スポーツサルーンの場合、前後の重量配分を50:50に近づける設計がされています。重量配分が優れた現代のFR車は、後輪にもしっかりとトラクション(地面に力を伝える力)がかかるようになっています。

実録:BMW 3シリーズ ツーリングでの雪山体験

私は、FRのBMW 3シリーズ ツーリングに乗っています。冬になればスタッドレスタイヤを履き、白馬や斑尾、川部や神立など、あらゆる雪道を経験しました。

スタッドレスタイヤを履いていれば、FR車でも滑ることはほぼありません。

圧雪された雪道(スノーバーン)であれば、夏場の雨の日とさほど変わらない感覚で走ることができます。スピードをださずカーブの手前でしっかりと減速し、急ハンドル・急加速を避ける「雪道運転の基本」さえ守っていれば、FRだからといって冷や汗をかくようなシーンには遭遇しません。

なぜスキーヤーにFR車がおすすめなのか?

「走れるのは分かったけど、わざわざFRを選ぶメリットはあるの?」
そう思うかもしれません。しかし、長距離移動を伴うスキー・スノボ旅行において、FR車には4WDやFF(前輪駆動)車にはない大きなメリットがあります。それは「圧倒的な乗り心地の良さと、疲労の少なさ」です。

スキー場への道のり。
例えば、東京から長野の白馬へ行く場合、片道約300kmの道のりです。そのうち、雪道なのはラストの10km〜20km程度ではないでしょうか? つまり、道中の9割以上は「除雪された高速道路」や「ドライな舗装路」なのです。

この9割の運転時間が、スキー場に着いた時のパフォーマンス、そして帰宅時の疲労度を左右します。

FR車は、構造的にステアリング機構と駆動機構が分かれているため、ハンドルからの不快な振動が少なく、直進安定性に優れています。また、高級セダンやワゴンの多くがFRを採用していることからも分かる通り、静粛性が高い傾向にあります。

高速道路をクルージングしている時の滑らかさは、FR車ならではです。

知っておくべき「FRの弱点」と必須の対策

ここまでFR車を推奨してきましたが、限界もあります。これを知らずに雪山に行くと、痛い目を見る可能性があります。

FR車がどうしても苦手とするシチュエーションは「大雪が降っている時のアイスバーン」かつ「急勾配の坂道」です。

唯一の天敵:大雪時の坂道

圧雪路や新雪であれば問題ありませんが、特に大雪時の「ミラーバーン」の急な登り坂では、FRは苦戦を強いられます。
特に、BMWのような欧州車や高級セダンは車両が重い傾向にあります。車重があることは高速安定性には寄与しますが、ツルツルの坂道発進においては、重力が後ろにかかりすぎ、タイヤのグリップ力を超えてしまうことがあるのです。

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スキー場によって、直前に急勾配の坂道があるかないかでかなり違います。

例えば、苗場スキー場までの道のりは確かに勾配がありますが、そこまで急ではありません。確かに油断は禁物ですが、苗場のようなスキー場で、スタッドレス装着のFR車でスタックしてしまうようなことはなかなか起こりづらいです。

一度タイヤが空転し始めると、電子制御が介入してタイヤを止めようとしますが、そうすると今度は前に進む力が失われ、坂道の途中で立ち往生……という「スタック」のリスクが、4WD車に比べると高くなるのは事実です。

必須アイテム:金属チェーンの携行

では、どうすればよいのでしょうか?
答えはシンプルです。「タイヤチェーンを必ず携行すること」です。

「スタッドレス履いてるから大丈夫」という過信は禁物です。私はFR車で雪山に行く際、どんなに天気が良くても必ずトランクにチェーンを積んでいます。

昨今のスタッドレスタイヤの性能は素晴らしいですが、物理的な摩擦力がゼロに近いアイスバーンでは限界があります。しかし、チェーンさえ巻いてしまえば、FR車であっても雪山の急坂をグイグイ登っていきます。
最近のチェーンは取り付けも簡単ですし、お守り代わりに積んでおくだけで、精神的な余裕が全く違います。

特に、スキー場の駐車場入り口にある急なスロープや、別荘地のような細くて急な坂道に行く予定がある場合は、早めのチェーン装着を心がけてください。これさえ徹底すれば、FR車で怖いものはありません。

結論:乗りたい車で、雪山へ行こう

FR車で雪道は走れるのか?
その答えは「YES」です。

確かに、絶対的な走破性だけで比較すれば、最新のAWDシステムを搭載したSUVには敵わないです。しかし、私たちは雪道走破のタイムアタックをしているわけではありません。スキー場まで安全にたどり着き、快適に帰ってくることが目的です。

その目的において、FR車は「道中の快適性」と「運転する喜び」という、他には代えがたい付加価値を提供してくれます。

  • しっかりとしたスタッドレスタイヤを履くこと。
  • 万が一のためにチェーンを携行すること。
  • 急な操作をせず、電子制御を信じて丁寧に走ること。

この3点を守れば、FR車でも危険を感じずにスキー場に行くことができます。

「雪道が心配だから」という理由だけで、本当に乗りたいFR車を諦めて、妥協して別の車を買うのはあまりにも勿体無いことです。

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この記事を書いた人

サーフィン歴20年以上40代、ショート、ミッドレングス、ロング全部乗ります。

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