「カッコいいブーツを履きたいけれど、足が痛くて滑りに集中できない」
「3ピース構造(カブリオ構造)のブーツに憧れるけれど、あの独特のタイトさが合わない」
そんな悩みを抱え続けていませんか?ブーツ選びは、スキーヤーにとって永遠の課題であり、特に「幅広・甲高」という日本人に多い足型を持つ我々にとっては、苦行に近いものがあります。
しかし、ついにその悩みに終止符を打つかもしれない、革命的なブーツブランドが登場しました。それが、2023-24シーズンから登場したphaenom(フェノム)です。2026年のミラノ・コルティナオリンピックでもFACTIONのスキー板を使用するフリースタイルスキーヤーがかなり多かったのですが、FACTIONのスキー板を使っている選手も多く、phaenomのブーツを使っています。
FACTION SKISの兄弟ブランドとして誕生したこの新進気鋭のメーカーは、そのスタイリッシュな見た目だけでなく、実は「幅広・甲高スキーヤーの救世主」になるかもしれません。
今回は、phaenomのラインナップの中でも特にフリースタイルに特化した「fsシリーズ」に焦点を当て、自分に合ったモデルをどう選べばよいのかを徹底解説します。
UGミラノコルティナオリンピックのフリースタイルスキー選手の中では、スイス女子代表の TANNO Giulia 選手が Phaenom のブーツを使っています。
1. なぜ今、phaenom(フェノム)なのか?
スキー業界に突如として現れたのが phaenomです。真っ黒でミニマルなデザイン、洗練されたロゴ。一見すると「デザイン重視のファッションブーツか?」と思われるかもしれませんが、中身はガチガチの機能性重視です。
特に注目すべきは、フリースタイルスキーヤーが愛してやまない「3ピース構造(カブリオデザイン)」を採用している点です。
3ピース構造のメリットと、これまでの「弱点」
通常の2ピース(オーバーラップ)ブーツと違い、3ピース構造は以下のパーツで構成されています。
- ロアシェル(足全体を包む)
- アッパーカフ(足首を支える)
- タング(脛を受け止める)
この構造の最大のメリットは、「足首の使いやすさ」と「衝撃吸収性」です。タングが独立して動くため、フレックス(硬さ)が一定で、ジャンプの着地や荒れたバーンでの衝撃をマイルドにいなしてくれます。まさにフリースタイル向きの構造です。
しかし、従来の有名な3ピースブーツ(FTやDalbelloなど)には、ある「弱点」がありました。
それは、「ラスト(足幅)が狭く、甲が低いモデルが多かった」ということです。
「3ピースは調子いいけど、足が締め付けられて限界……」
そう諦めていたスキーヤーも多いはずです。そこで登場したのが、phaenomの「fsシリーズ」です。


2. 幅広・甲高歓喜!phaenom fsシリーズの「ラスト幅102mm」
ここからが本題です。なぜ、幅広・甲高のあなたがphaenom fsシリーズを選ぶべきなのか。その最大の理由が「サイズ感」にあります。
「102mm」ラスト
phaenomのfsシリーズは、ラスト幅(足の横幅)が「102mm」に設定されています。
一般的な競技用ブーツが92mm〜95mm、標準的なブーツが98mm〜100mmであることを考えると、102mmというのは「かなりゆったりとしたコンフォートフィット」の部類に入ります。
従来の3ピースブーツは99mm前後が主流で、幅広の足を持つスキーヤーはシェル出し(熱加工で広げること)が必須でした。しかし、phaenom fsシリーズなら、純正の状態で日本人の幅広な足にフィットする可能性が高い。
甲高にも優しい「ハイブリッド・カブリオ構造」
幅だけでなく、「甲の高さ」も重要です。phaenomは完全なクラシック・カブリオではなく、現代的に再解釈された設計になっています。
タング部分が足の甲を上からギチギチに抑え込むのではなく、足首のホールド感を保ちながらも、甲周りのスペースには余裕を持たせた設計になっています。これにより、甲高の人が陥りがちな「足の甲の血管が圧迫されて痺れる」という現象を大幅に軽減します。
「3ピース構造の乗り味が欲しい。でも、快適さも欲しい」
そんなワガママな願いを叶えてくれるのが、この102mmラストを持つfsシリーズです。
3. 独自のストラップシステム「The phaenom strap」
phaenomのブーツを見て、まず目を引くのがバックルの少なさです。通常の4バックルブーツとは異なり、2つのバックルと、太い一本のストラップで構成されています。これが「The phaenom strap(フェノムストラップ)」です。
点ではなく「面」で支える
甲高の人がブーツで痛みを感じるのは、バックルという「点」で締め付ける際に、骨の出っ張りに局所的な圧力がかかるからです。
phaenomの幅広ストラップは、スネから足首にかけてを「面」で包み込むようにホールドします。これにより、圧力が分散され、局所的な痛みが起きにくくなります。しかも、このストラップ自体が衝撃吸収の役割も果たすため、着地時のスネへのダメージ(シン・バング)も防いでくれます。
4. 自分に合うのはどれ? fsシリーズのモデル選び
phaenom fsシリーズには、主に硬さ(フレックス)の異なるモデルが存在します。自分のプレイスタイルに合わせて選びましょう。
① ハードな滑りを求めるなら「phaenom fs 01」
- 想定フレックス: 120相当
- おすすめ: ビッグエア、ハーフパイプ、高速フリーラン、体重が重めの方
もしあなたが、大きなキッカーを飛んだり、ゲレンデ全体をハイスピードで攻めたいなら、硬めのモデルを選びましょう。102mmというワイドなラストでありながら、剛性の高いプラスチックを使用しているため、パワー伝達は正確です。「幅広ブーツ=ルーズで力が逃げる」という常識を覆すレスポンスを持っています。
② スタイルと遊びを重視するなら「phaenom fs 02」
- 想定フレックス: 100相当
- おすすめ: ジブ(レール・ボックス)、グラトリ、バター系トリック、パーク初心者〜中級者、快適性重視の方
足首を柔らかく使ってスタイリッシュなグラブを入れたい、膝を内側に入れてニュースクールな滑りをしたい、という方には柔らかめのモデルがベストです。
特にphaenomの柔らかいモデルは、粘りのあるフレックスが特徴。プレスの際に「どこまでも耐えてくれる」ような感覚があり、バター系トリックのメイク率が上がるでしょう。幅広・甲高の足への圧迫感も、シェルがしなやかな分、より少なくなります。
ちなみに私の場合、足幅は大きい方ではなく、普段は ARMADA の AR ONE 120 GW を使っています。
AR ONE の前は、Full Tilt Classic を使っていたのですが、私のような足の形の場合、phaenom の同じサイズを履くと、足の周りにかなり空間があって「これでは滑れないな」と思いました。


5. インナーブーツの重要性:最初から「プレミアム」
足の形に悩みを持つ人にとって、インナーブーツ(ライナー)の質は死活問題です。
phaenomのブーツには、標準で高品質なライナーが搭載されています(多くのモデルで熱成形可能なタイプを採用)。
足を入れた瞬間は「少しタイトかな?」と感じるかもしれませんが、体温またはショップでの熱成形によって、自分の足の凹凸に合わせて驚くほど馴染みます。
特に、幅広の小指部分や、甲の出っ張り部分のフォームが潰れてフィットしてくれるため、102mmのシェル性能を最大限に活かすことができます。
また、ソール部分には衝撃吸収材がふんだんに使われており、踵(かかと)への衝撃を和らげてくれます。これは、硬い雪面でのランディングを繰り返すフリースタイラーにとって、膝や腰を守る重要な機能です。
6. サステナビリティとデザイン:所有する喜び
選び方の本質とは少しズレますが、phaenomを選ぶ大きな理由に「環境への配慮」と「デザイン」があります。
phaenomのブーツは、リサイクル可能な素材で作られており、パーツごとに分解して修理・交換が容易な設計になっています。「良いものを長く使う」という精神は、道具を愛するスキーヤーとして共感できるポイントです。
そして何より、オールブラックの洗練されたルックス。太いパンツを被せても、圧倒的にサマになります。足元のカッコよさは、モチベーションに直結します。
7. サイズ選びの注意点:実寸を知ろう
幅広・甲高の人がphaenom fsシリーズを選ぶ際のサイズ選びのコツをお伝えします。
- 実寸(モンドポイント)を測る
普段のスニーカーが27.5cmだからといって、ブーツも27.5cmを選ぶのは危険です。スニーカーは大きめに履いていることが多いからです。必ずショップで実寸を測りましょう。 - ラスト102mmを信じる
普段、幅に合わせて実寸より1cm大きいサイズを選んでいる人も、phaenomなら「実寸通りのサイズ」で入る可能性があります。102mmの幅広設計は伊達ではありません。 - インナーの馴染みを考慮する
最初は「キツイかも」と思っても、熱成形インナーは使用に伴い広がります。新品状態で指が少し触れる程度であれば、ジャストサイズの可能性が高いです。逆に、新品で指が全く触れず、どこも当たらない状態だと、馴染んだ後にブカブカになるリスクがあります。



ちなみに私の息子(16歳)もフリースタイルスキーをするのですが、私と違って、かなりの甲高、足幅が広いため、それまでブーツ選びにかなり悩んできました。REXXAM、ARMADAのブーツは小さすぎて合わずで、pheanomのブーツがやっと「痛くない」という感じ。ただ、それでもフィット感を重視した結果、2ピースブーツの HEAD EDGE 100 HV Allmountain Boot を使っています。この HEAD EDGE はフィット感が素晴らしい、絶対痛くならなそう、とのこと。
フリースタイルだからと言って、3ピースに限らず、2ピースのブーツから選ぶものテです。
まとめ:phaenom fsは「我慢しない」スキーへのパスポート
長年、幅広・甲高の足を持つフリースタイルスキーヤーは、「パフォーマンスのために痛みを我慢する」か「快適さのためにホールド感を犠牲にする」かの二択を迫られてきました。
しかし、phaenom fsシリーズの登場によって、その妥協は不要になりました。
- 102mmのワイドラストによるストレスフリーな空間
- 3ピース構造特有の滑らかなフレックスと衝撃吸収
- 独自のストラップシステムによる面でのホールド
これらが融合したphaenom fsシリーズは、まさにあなたのためのブーツです。足の痛みに別れを告げ、純粋にライディングを楽しむための最高の武器となるはずです。









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