ARMADA ARVとEdollo|2025-26シーズンの傾向と2026-27シーズンの展望

フリースタイルスキーという文化を牽引し続けるブランド「ARMADA(アルマダ)」の二大巨頭、ARVシリーズとEdollo(イードロ)について、その設計思想の違いと、スキーヤーが自身のスタイルをどのように定義すべきかという観点から解説します。

1. フリースタイルにおける「標準」の進化:ARVシリーズ

まず、ARMADAにおけるARVシリーズについて。
これまでのフリースタイルスキーの歴史を振り返れば、ARVは常に「現代のフリースタイルスキーの標準」を再定義し続けてきたモデルだと言えます。2026年のミラノ・コルティナオリンピックでもフリースタイルの選手の多くがこのARMADA ARVシリーズを使用しています。

ARVシリーズの最大の特徴は、その圧倒的な「汎用性」と「耐久性」。特に近年のモデルアップデートで導入された「w3dgewall(ウェッジウォール)」構造は、サイドウォールの強度を飛躍的に高めました。パークでの激しいジブやビッグキッカーでの着地の負荷への耐久性が高くなっています。

ARVを単なる「丈夫な板」ではありません。
ARV(特に中心となるARV 94や100)は、パークからパウダー、そしてゲレンデクルージングまで、あらゆるシチュエーションにおいて「80点以上の合格点」を叩き出すように設計されています。ポプラとアッシュを組み合わせたウッドコアは、反発力と安定性を実現、フリースタイルスキーヤーが意図した通りの挙動を発揮してくれます。

つまり、ARVシリーズを装備すれば、飛びたいと思えば飛び、曲がりたいと思えば曲がる。そこには、スキーヤーの技術を阻害する要素が排除されています。これは、フリースタイルスキーを趣味としても競技としても捉える層にとって、最も信頼できる武器です。

2. 2025-26モデルが大幅変更:Edollo

一方で、Henrik Harlaut(ヘンリック・ハーロウ)のシグネチャーモデルであるARMADAのEdolloは、異なるコンセプト。
ARVが「忠実な優等生」であるならば、Edolloは「物理法則をハッキングする革命家」です。


2024-25シーズンまではウェスト幅が98mmで、スペックが長い間変更されていませんでしたが、2025-26年シーズンからは一転して大幅チェンジ。ウェスト幅が91mmとなり、一気にパークよりのスペックになった印象です。この変更にでEdolloが人気が高まっており、2025-26年は販売店によっては予約の段階で完売したとのこと。

2026-27シーズンは、引き続きウェスト幅は91mm。フリースタイルのスキー板というと100mmくらいのウェスト幅が標準でしたが、一気に1cmほど幅が細くなりました。

Edolloの設計思想における最大の特異点は、そのフレックスパターンにあります。「ノーズは極端に柔らかく、テールは強靭に」というこの非対称な構造は、通常のスキー製作のセオリーからすれば明らかに「逸脱」しています。しかし、この逸脱こそが、ヘンリック・ハーロウという稀代の表現者が求めた機能なのです。

柔らかいノーズは、バターやプレスといったグラトリにおいて、スキーヤーが雪面に対して過度な力を加えずとも、板が勝手にしなり、スタイルを生み出すことを可能にします。一方で、硬いテールは、不安定な体勢からの着地や、強力なオーリーをサポートします。

Edolloは、単に滑るための道具ではありません。それは、雪山というキャンバスに、これまでにない軌道を描くための「筆」。この板を選ぶということは、既存の滑りのメソッドに対して「私はこう思う」という個人的な解釈、すなわち「スタイル」を提示することに他なりません。

UG

実際、ARVとEdolloは、同じメーカーの板と思えないくらい違います。

ARV = ガチガチ。全体的にかなり硬い、しならない
Edollo = ノーズ部分がかなり柔らかい。かなりしなる。テール部分は硬め

3. ARVとEdolloの決定的な違い:機能か、表現か

ここで、両者の違いを構造的に整理してみましょう。

ARVシリーズは「センター位置」を推奨し、スイッチライディング(後ろ向き滑走)やスピンのバランスを最適化しています。これは、スキーの回転性能やスイングウェイトの軽さを重視する「競技的・技術的アプローチ」に適しています。キャンバーとロッカーのバランスもオーソドックスであり、誰が乗っても扱いやすいという特徴があります。

対してEdolloは、推奨ビンディング位置がやや後方に設定されていることもあり(もちろんセンターで乗ることも可能ですが)、より「サーフライド」に近い感覚をもたらします。ノーズロッカーが大きく取られているため、不整地や春のシャバ雪での走破性も高いですが、高速域でのカービング性能という点では、ARVの安定感には及びません。

つまり、ARVが「環境適応能力」を最大化するツールであるのに対し、Edolloは「環境解釈能力」を拡張するツールであると言えます。
ARVは山全体を遊び場に変えますが、Edolloは山全体を表現の場に変えるのです。

UG

ちなみに、ミラノ・コルティナ五輪でハーロウ以外の選手が使用していたのは、ARVシリーズが大半です。

4. タイプ別推奨

では、私たちは具体的にどちらを選べば良いのでしょうか?
それは、あなたがスキーを通じてどのような「スタイル」を紡ぎたいかによります。

A. オールラウンド・プログレッシブ(ARV 94 / 100 推奨)
もしあなたが、パークでのジャンプも楽しみつつ、朝一番のグルーミングバーンを疾走し、時にはサイドカントリーのパウダーも食いたいと願うなら、迷わずARVシリーズを選ぶべきです。
特にARV 94は、現在のフリースタイルスキーにおける「マスターピース」です。スイングウェイトの軽さとエッジグリップの良さは、あなたの技術向上を最も効率的にサポートします。「どんな状況でも裏切らない」という安心感は、挑戦への恐怖心を和らげ、次のレベルへとあなたを導くでしょう。これは、スキーヤーとしての基礎能力を底上げしたい人にとっての最適解です。

2026-27シーズンからは、ウェスト幅が94mmのモデルが主流となるでしょう。

B. クリエイティブ・エクスプレッショニスト(Edollo 推奨)
もしあなたが、ジャンプの高さや回転数よりも、「いかに独創的なラインを描くか」「いかにスムーズにバターを決めるか」に価値を置くなら、Edolloが唯一無二の選択肢となります。
ヘンリック・ハーロウのスタイルに共感し、ゲレンデの起伏すべてを遊び尽くしたいと願うなら、この板の特異なフレックスはあなたの想像力を刺激し続けるでしょう。ただし、この板は乗り手に一定の「対話」を求めます。板の特性を理解し、それを活かす滑り方を模索するプロセスそのものを楽しめる人、すなわち「アーティスト気質」のスキーヤーにこそふさわしいモデルです。

C. ビッグマウンテン・フリースタイラー(ARV 106 / 116 JJ 推奨)
少し視点を広げて、もしあなたの主戦場が深雪やバックカントリーにあるのなら、ARVシリーズの太いモデル(106や116 JJ)が視野に入ります。これらはARVのDNAである「操作性」を維持したまま、浮力を最大化させたモデルです。パウダーの中でのトリックや、自然地形を使ったジャンプにおいて、これほど頼りになる相棒はいません。

5. 結論:道具選びは自己表現の第一歩である

最後に、私たちが認識すべき重要な点について触れておきます。
それは「道具を選ぶという行為自体が、すでに表現の一部である」ということです。

ARMADAというブランドは、元来、既存のスキー業界の退屈な規範に対するカウンターカルチャーとして生まれました。創業者のJP AuclairやTanner Hallたちが示したのは、スキーは単なるスポーツではなく、自己表現のアートフォームであるという思想です。

ARVを選ぶことは、そのアートフォームを現代の技術で洗練させ、高次元で楽しむという宣言です。
Edolloを選ぶことは、そのアートフォームにおける「逸脱」や「遊び心」を何よりも優先するという宣言です。

どちらが優れているか、という議論は無意味です。重要なのは、あなたが雪山で何を感じ、どう動きたいかという内なる声に耳を傾けることです。
流行や他人の評価ではなく、自分の感性に共鳴する板を選んでください。

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この記事を書いた人

サーフィン歴20年以上40代、ショート、ミッドレングス、ロング全部乗ります。

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